決して派手ではない「つながり」が、チームと街を動かす。亀井亮依インタビュー

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グリーンロケッツ東葛の亀井亮依選手。
今はキャプテンではないけれど、どこか“つなぐ役割”が自然と似合う人。
グラウンドの中では、派手なプレーよりも、仲間と仲間の間を献身的なプレーでつなぐ「コネクション」の人。
グラウンドの外では、地元のお店と選手をゆるやかにつなぐ、街のハブみたいな存在。

そんな亀井選手を見ていると、ラグビーの見方がちょっと変わる。
「なんで今そこに立ってるの?」
「なんでその動きが必要なの?」
そんな“目立たないすごさ”に気づけたら、観戦がぐっと面白くなるはず。

亀井選手をグラウンドで見かけたら、ボールを持っていなかったとしても、ぜひ注目してみてください。
静かにチームを支えるそのプレーに、きっと引き込まれるはずです。

聞き手・編集:酒井公太

目次

静かなるキャプテン、亀井亮依の本質

 
亀井さん、今日はお時間いただきありがとうございます!

亀井 亮依選手(以下亀井さん)
いえいえ、こちらこそありがとうございます。

 
何度か亀井さんとお話しさせて頂いて、亀井さんはグリーンロケッツの選手の中でも特に「落ち着いている」方だという印象がありまして。
しかも、関西出身だと知った時に余計に驚いたんですよね。

亀井さん
「関西人っぽくない」は本当によく言われますね。
実は幼い頃から、「物静かな」タイプなんですよ。
集団の中にいても目立つような中心人物でもなかったですし、みんながワイワイ盛り上がっているのを、外で様子見しているタイプだったんです。

 
ただ、亀井さんって基本的に今まで属しているチームでは、ずっとキャプテンを務められていましたよね。
高校、大学、社会人になってもずっとキャプテンで。

亀井さん
実は、ラグビーを始めた中学時代もキャプテンやってました。
…そこが僕のラグビー人生の中での一番の謎なんですよね。

そう言う意味では、自分から手をあげて「やります」って言ったことは一度もないですね。
大学の時は、ちょっと特殊でチームメンバーの話合いで決めましたけど、それ以外は監督から打診を受けて…と言う形でキャプテンを務めていました。

 
キャプテンを任された時は、どのような気持ちでしたか?

亀井さん
「そういう機会をもらえていたので、頑張っていた」という感じですね。

ただ、ラグビーを始める前の小学生の頃は、本当におとなしい子だったんですよ。
毎日やるべきことをやって、淡々と生きているような子供でしたね。

 
キャプテンを歴任した今でも、少年時代からの「物静かな」部分は変わらなかったんですね。

亀井さん
そうなんですよ。だから、一番びっくりしているのは僕のことを良くわかっている両親だと思いますよ。
帝京大学時代のキャプテンになった時なんかは優勝が続いている頃だったので、親に心配されましたからね。

「なんで、あんたなん?もし負けたら、あんたやばいやん!」
って言われましたよ。

その時は、「そこは親なんだから一番信頼してくれよ」って思ってましたけど(笑)

 
それだけキャプテンを続けていると、キャプテンのあり方について何か思うところはあったりしますか?

亀井さん
それは、「学生時代」と「社会人から」で大きく変わりましたよね。

学生の頃は、同じ仲間たちとずっと寝食ともに一緒にいるイメージでしたけど、社会人になってからは、それが違ってきたというか。

海外からの選手もチームに入ってきますし、大学までのいわゆる「常勝軍団」のようなチームとは違って「一勝」をもぎ取るためにチームメイトに対してどう接して行けば良いのかを常に考えていましたね。
ただ大きい声を出してチームを鼓舞してチームメンバーが動くわけでもないですから。

 
社会人になって一年目で、キャプテンになった時ってプレッシャーがすごかったんじゃないですか。

亀井さん
そこはタッキーさん達ベテラン勢がちゃんと助けてくれましたし、あとは、当時若手だった僕の動きが、チーム対しても新鮮だった部分もあったとは思うんです。

それまでのNECになかったような考え方がチームにとって刺激になるようなこともあったとは思います。
だから、NECに限らず、他のチームでも若手がキャプテン務めることは、結構あるんですよ。

見えないプレー=「コネクション」が試合の流れをつくる。

 
亀井さんといえば、僕の中では「鋭いタックル」というイメージがあるんですね。
この間、Three Cheers!さんの取材で「トライよりもタックルを決めた方が嬉しい」とおっしゃっていましたよね。

亀井さん
もちろん、観客の皆さんからしたらトライの瞬間は一番盛り上がるシーンだと思うんです。

ただ、ラグビーってトライ以外のプレーも多いんですよね。
むしろ「ボールを持っていないプレー」の方が多いくらいですよ。

僕にとっては、そのボールを持っていない時のプレーの方に、ラグビーの魅力や面白さが詰まっていると思っていまして、そんなプレーが好きなんですよね。

 
確かにトライに繋がる前の段階で色々なプレーがあるはずなのに…。
試合観戦時にトライが生まれた瞬間は、そういうプレーがあることを完全に忘れてました。

亀井さん
(笑)忘れますよね。
でも、僕ら選手たちは、自らの試合をフィールドレビューする時はトライ以外の時間をすごい重視するんですよね。
トライ前のシーンを何度も巻き戻して、繰り返し見ていますよ。

 
「タックル」もトライに繋がる一つのプレーであって、それ以外にも色々なプレーが存在しているんですよね。タックルばかりに目が言ってましたけど、それ以外のプレーも実は結構やっているという。

亀井さん
そうですね。特に僕がやっているプレーは観客の方から見たら、非常にわかりづらいかも知れないです。
「そこにいる」とか、「そこに立つ」とか…そういうプレーもあるんですよね。

そういうのは僕らの中では、仲間と仲間の間を繋げる「コネクション」って言ったりもするんですけどね。
そこがラグビーの面白いところだったりもするんです。

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